どんな曲?
韓国のシンガーソングライターIU(アイユー)が、BTSのSUGAとコラボレーションした楽曲「eight」は、切ないメロディーと詩的な歌詞が印象的な一曲です。この楽曲は、IUが20代最後の年に発表したものであり、彼女自身の経験や思い出、そして「永遠」への願いが込められています。
今回は、「eight」の歌詞を深く掘り下げ、その意味を考察していきます。
幸せはどこに? – 楽曲の冒頭
“So are you happy now? Finally happy now? Yeah”
(それで、今は幸せ? ついに幸せになれた? うん)
この歌詞は、過去の思い出や失ったものへの問いかけのように聞こえます。IUは、かつて一緒にいた大切な存在へ、「あなたは幸せですか?」と問いかけているようです。
“뭐 그대로야 난 다 잃어버린 것 같아”
(まあ、私はそのままだよ すべてを失くした気がする)
過ぎ去った時間や失われた存在に対する喪失感が、この一節から強く伝わってきます。IUが「잃어버린(失ってしまった)」と歌うことで、もう戻らない何かへの未練が感じられます。
記憶の中の楽園 – オレンジ色の太陽の下で
“우리는 오렌지 태양 아래 그림자 없이 함께 춤을 춰”
(私たちはオレンジの太陽の下 影もなく一緒に踊る)
オレンジの太陽の下、影すら存在しない場所。これは、現実世界ではなく、記憶や想像の中の理想郷を表しているように思えます。ここでは別れも悲しみもなく、ただ無邪気に踊ることができるのです。
“정해진 안녕 따위는 없어 아름다웠던 그 기억에서 만나”
(決められた別れなんてない 美しかったあの記憶で会おう)
「안녕(アンニョン)」は「さようなら」と「こんにちは」の両方の意味を持つ言葉ですが、ここでは「別れ」の意味が強いです。しかし、IUは「定められた別れなんてない」と否定し、美しい記憶の中で再び出会うことを願っています。
「永遠」とは何か?
“Forever young”
(永遠に若く)
この楽曲のテーマのひとつは「永遠の若さ」です。IUは「永遠(영원)」を「모래성(砂の城)」と表現し、「永遠なんて脆いものだ」と示唆します。つまり、どんなに美しいものでも時間とともに崩れ去ってしまうという現実を受け入れつつ、それでも永遠を願う心が描かれています。
“이런 악몽이라면 영영 깨지 않을게”
(こんな悪夢なら、永遠に目覚めないよ)
通常なら目覚めたいはずの「悪夢」でも、それが大切な人との思い出が詰まったものなら、決して目覚めたくない。これは、失った人との時間を少しでも長く感じていたいという強い思いの表れかもしれません。
「eight」に込められた意味
タイトルの「eight」は、IUが28歳のときに発表したことに由来するとも言われていますが、横に倒すと「∞(無限)」という記号にも見えます。これは、彼女が「永遠」や「無限の思い出」をテーマにしていることを示唆しているのかもしれません。
また、この楽曲には、IUがこれまでに親しくしていた故人たち(特にSHINeeのジョンヒョンやSulliなど)への思いも込められていると解釈する人も多く、彼女が「永遠に忘れないよ」とメッセージを送っているようにも感じられます。
まとめ – 記憶の中で生き続けるもの
「eight」は、過ぎ去った青春や大切な人への思いを描いた、美しくも切ない楽曲です。時間が経っても色褪せない思い出、そしてその記憶の中で「永遠」に一緒にいたいという願いが込められています。
この曲を聴くと、誰しもが自分の大切な思い出や失ったものを思い浮かべるのではないでしょうか。そして、IUが歌うように、私たちも「美しかった記憶の中で再び会える」ことを願いたくなります。